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  • 執筆者の写真立命館大学 丹後村おこし活動チーム

【7月2日 訪丹】

更新日:2023年7月5日

こんばんは。


 訪丹が終わり、いま、京都駅中央口前のロータリーで、206系統のバスを待ちながら、このブログを書いています。


 丹後の活動地から舞い戻って駅のアスファルトに足を着くと、その度に不思議な感覚に陥ります。おそらく、景観のつくりが根っこから違っているからなのだろうと思います。自然をかき分けて家々が座る日ケ谷とはまったく反対で、固められた地面と固められたビルに少しの穴が空き、そこから街路樹がやっとの思いで顔を出しているのが、駅前の景色です。知の部屋から見る村は、多数の曲線に少しの直線が足された複雑な輪郭を成していますが、駅前の視界は、直線と幾何学的図形で満たされ、カクカクとしています。


(バスが来ました。バスに乗りました。混み合って押し詰め寸前の車内には、夜になっても蒸した熱気が籠もっていて、夏特有の人いきれを、いやでも感じざるを得ません。)


 そうでした。日中には、草いきれを嗅いだのでした。


(たったいま馬町でたくさんのお客さんが降り、このバスは冷房の効いた快適な乗り物へと変身しました。)


 知の部屋の裏の、くさむら。くさむらと言っても良いのか微妙なくらいの大きさの、くさむら。血気盛んな太陽からの熱視線は、そのくさむらの草々までをも、煽り立てました。疲れて身を倒した僕の肌は、じっとりと湿った汗で覆われていましたが、それが僕の汗なのか、草の汗なのか、それは分かりませんでした。(草の汗だったらいい、と思いました。)ただ一つだけ確かに感じたのは、蒸し立ちながら揺れるくさむらのにおいでした。言葉では語りえない深みがありました。


(充電があと二パーセント、目的のバス停まであと二駅。どちらが先か、ドキドキしています。)


 今日の活動は、草刈り機の使い方に関する講習会を兼ねた、知の部屋の草刈りでした。これを先に言っておくべきでした。初めて草刈り機を触る一年生もいました。二三時間練習しましたが、鎌を使っていた時間の方が長かった気もします。鎌で


(さっきバス停に着いて、いま家にいます。スマホを充電器に繋ぎました。バスに乗っているうちに書き終えたかったのですが、まだもう少しだけ、ベッドに横たわりながら。)


 鎌で草を刈ると、土と茎のあいまに住まう小さな虫たちやカタツムリたち、ミミズたちが、おおぜい這い出してきます。まっしろなバッタのこどもと、カタツムリのこども。それの、タニシっぽいのとカワニナっぽいの。おもしろい生き物をたくさん見つけましたが、その中でも一番印象に残ったのは、ミミズでした。草葉の隙間を意外にすっぱやく潜り抜けてゆくミミズは、改めて見ると、とてもきれいな色味をしていました。土色で半透で、こればかりは実際に見てもらうしかありませんが、その色感は、これまで抱いていたミミズに対する少なからざる嫌悪を、小麦粉を吹くようにフワッと払拭してくれるものでした。


 土色で半透、いい見た目です。

 フワッと払拭、いい響きです。


今年の夏もそうでありますように。


それでは僕はシャワーを浴びてきます。




【ギャラリー】


文章中に埋め込むのが難しかったので、ここに今回の訪丹の写真を載せます。見てほしい写真がたくさんありますよ。


いつもの田んぼです。しっかりと育ってくれているでしょうか。


日ケ谷の景色です。いつも見惚れてしまいます。晴れていると特にです。


懐っこいトンボがいました。戯れるように枝にとまってくれました。


好きな写真です。真ん中にいるのはトンボでしょうか。トンボはその複眼で枝を見ています。麦わら帽子はそんなトンボを見ています。人間の眼とトンボの眼はまったく違います。見えている世界も全く異なるでしょう。それでも、見ているということは同じです。


眼と言えば、カタツムリの眼をよく見たことはありますか?一つの部位に注目して色々な生物を観察してみると、とても興味深いことが発見できるかもしれません。


鮮やかなオレンジ色をした花ですね。花に眼はありません。でも、周囲の環境の変化に反応し、生を繋いでいます。人間の知覚はその多くを視覚に頼っていますが、知覚というのは、何も視覚に限ったことではありません。花は世界を視てはいませんが、見ているのです。そう考えてみれば、視覚中心の世界が当たり前ではないことに気が付きます。超音波の反響によって周囲の状況を把握するコウモリの意識世界は、きっと人間の意識世界とは全く異なるものでしょう。そして、私たちは決して、コウモリの世界を体験することができません。不思議です。


世界にはいろいろな生物が住んでいて、それぞれに自分の世界を生きています。私たちは、そんな生物たちに常日頃から接しています。今回の訪丹では、見たこともないような動物に出会いました。この写真の動物です。草刈り中に二度、私たちの前に姿を見せました。毛が抜け、弱っているようにも見えます。一体なんという動物なのか、分かりませんでした。情報募集中です。


草刈りの様子です。安全に草刈り機を使用できるよう、指導を受けながら動かしてみました。


楽しい一日でした。心残りはといえば、まだ蝉が鳴いていなかったことでしょうか。7月に入り、もう既に茹でられて赤くなりそうなほどの暑さだというのに、蝉は土に潜ったまま起きてきません。暑いのに蝉の鳴き声が聞こえないと損をした気分になる、と後輩が言っていましたが、まさにその通りだと感じた昼下がりでした。次に来た時には盛大な合唱で迎えてくれることを祈っています。



文責:大野

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